思春期の子どもへの接し方|教師が信頼関係を築く4つのコツ

コミュニケーション

思春期の子どもへの接し方|信頼関係を築く4つのコツ

「最近、クラスの子どもたちの様子が変わってきた気がする……」

「以前のように素直に話してくれなくなった……」

「注意すると反発される。どう接すればいいのか分からない……」

高学年の学級を担任していると、
こんな悩みを感じることがあるのではないでしょうか。

 

私は公立の小中学校で20年以上、
担任として教壇に立ってきました。

現在は、個人で教員のみなさん向けのサポートをしながら、

教員としての感覚を鈍らせないために、
非常勤講師として小学校にも通っています。

 

長く現場にいても、
思春期の子どもとの関わり方に悩むことはあります。

むしろ、経験を重ねるほど、

「今、この子にどんな言葉をかければいいのだろう」

と考える場面も増えたようにも感じます。

 

思春期の子どもは、
以前と同じように接しているのに、

急に反発したり、
こちらに心を開かなくなったりすることがあります。

でも、それは必ずしも
「扱いにくくなった」ということではありません。

「自分で考えたい」
「自分で決めたい」
という気持ちが強くなり、

子どもから大人へと
少しずつ変化している時期とも捉えられます。

教師側も、
これまでと同じ接し方だけに
こだわる必要はありません。

 

この記事では、
思春期の子どもの心の変化を踏まえながら、

私自身の失敗や実践をもとに、
信頼関係を築くための4つのコツを紹介します。

 

思春期の子どもに、何が起きているのか

「思春期」について、
一度整理してみましょう。

思春期は、小学校高学年から
中学生にかけて始まることが多い時期です。

体が大きく変化するだけでなく、
心の中にも大きな変化が起きています。

 

たとえば、

  • 声変わりや身長の伸びなど、体つきが変化する
  • 周りの目が気になり、自意識が強くなる
  • 小さなことで不安になったり、急にイライラしたりする
  • 親や先生に言われた通りではなく、自分で決めたいという気持ちが強くなる
  • 友達との関係や周囲からの評価を気にするようになる

こうした変化は、自然な成長の一部です。 ただ、教師から見ると、

「前は素直に聞いてくれたのに」
「最近、何を言っても反発してくる」
「こちらから話しかけても、あまり話してくれない」

と感じることもあるでしょう。

ここで大切なのは、
「反抗している」
とだけ捉えないことです。

 

「自分のことを自分で決めたいと思うようになったのかもしれない」

「周りからどう見られているのか、気になっているのかもしれない」

 

そんなふうに、
子どもの言動の奥にある気持ちを考えてみる。

それだけでも、
教師側の関わり方は変わってきます。

 

思春期だからといって、
特別な対応をしなければならないわけではありません。

大切なのは、
子どもの変化に合わせて、
教師自身の関わり方も変えていくことです。

 

「正しい先生」でいようとすると、うまくいかない理由

若い頃の私は、

「担任はこうあるべきだ」

「大人として、先生として、常に正しくいなければ」

と思い込んでいました。

 

子どもが間違っていたら、
正しいことを伝える。

ルールを破ったら、
きちんと指導する。

教師として、常に毅然としている。
それ自体は、もちろん大切なことです。

 

ただ、
「正しい先生でいなければ」と思いすぎると、

子どもとの間に
見えない壁ができることがあります。

私自身、そういう時期がありました。

話しかけてくる子は減り、
指導しても、
こちらの話が本当に届いているのか分からない。

子どもたちの表情から
本音が読み取れず、
モヤモヤした毎日を過ごしていました。

 

そんな私が変わるきっかけになったのは、

自分の失敗やちょっとした本音を、
隠さず子どもたちに話すようになったことです。

 

「先生も、昔こんな失敗をしたんだよ」

「先生も中学生のときは、こんなことで悩んでいたよ」

 

そんな話をするようになると、
少しずつ子どもたちとの距離が縮まっていきました。

「先生も完璧な人じゃないんだ」

そう感じてもらえるようになると、
日常の声かけも問題行動への指導も、
以前よりずっとスムーズに伝わるようになったのです。

 

教師は、
何でもできる完璧な大人である必要はありません。

守るべきことや、
指導すべきことはもちろんあります。

それと同時に、
一人の人間として子どもと向き合うことも、

信頼関係をつくるうえで大切なのだと思います。

 

思春期の子どもとの信頼関係を築く4つのコツ

1.本音を見せる

ある年、
6年生を担任していたときのことです。

クラスに、授業中の指導に
「うるさい」と反発してくる男の子がいました。

正論で言い返せば言い返すほど、
その子はますます心を閉ざしていくのが分かりました。

 

そこで、私はふとしたときに自分の中学時代の話をしてみました。

「先生も中学生のとき、勉強をさぼっててテストでやらかしてね、親にめちゃくちゃ叱られたことがあるんだよね。」

教壇に立つ先生が、
自分の失敗を口にする。

その子は最初、
少し驚いた顔をしていました。

でも、しばらくすると、
自分の失敗談もぽつぽつと
話してくれるようになりました。

 

「先生も完璧じゃないんだ」

そう感じたことがきっかけだったのか、
その子の態度は少しずつ変わっていきました。

反発する回数が減り、
何かあったときには、

「先生、ちょっと聞いてほしいんだけど」

と、自分から話しかけてくるようになったのです。

 

子どもは、
隙のない完璧な大人だけを
信頼するわけではありません。

失敗した経験や、
悩んだ経験も含めて話してくれる先生だからこそ、

「この先生には話してもいい、分かってくれそう」

と感じることがあります。

 

教師が自分のことを
何でも話す必要はありませんが、

大切なのは、
「先生も一人の人間なんだ」
と感じてもらえる程度に、
自分の経験や本音を見せることです。

 

明日からできること

子どもに何かを伝える前に、

「先生も昔、似たようなことで悩んだことがあるよ」
「先生も失敗したことがあるんだよ」

と、自分の経験を一つ添えてみてください。

そうすることで、
子どもの受け取り方が
変わることがありますよ。

 

2.正論だけでなく「変化球」で関わる

思春期の子どもに、
正論を真正面からぶつけても、
なかなか心に届かないことがあります。

教師としては、

「それはダメでしょう」
「こうするべきでしょう」

と伝えたくなる場面もあります。

正しいことを伝える必要がある場面も、確かにあります。
ただ、その前に一度、

「そう考えたんだね」
「ああ、その気持ちは分かるよ」

と、子どもの気持ちを受け止めてみることで、
子どもの表情が和らぐことがあります。

 

私は、こうした関わりを
「変化球」と考えています。

ここでいう「変化球」は、
子どもを無理に笑わせたり、
友達のように接したりすることではありません。

正論をそのまま
ぶつけるのではなく、

子どもの気持ちを受け止めたり、
自分の失敗談を話したり、
ときには少し笑える話を交えたりしながら、

子どもが構えずに話せる空気をつくることです。

 

正論と変化球。

どちらか一方が正しいわけではありません。

大切なのは、場面によって使い分けることです。

 

明日からできること

子どもが反発してきたとき、
すぐに正論を返すのではなく、

「どうしてそう思ったの?」
「そう感じたんだね」

と、相手の気持ちに目を向けてみて、
そのうえで、必要なことを伝えてみてください。

 

3.一貫性をもつ

思春期の子どもとの関係では、
「公平さ」も大きなポイントになります。

たとえば、

ある日は許していたことを、
別の日には厳しく叱る。
Aさんには注意したのに、
Bさんには何も言わない。
教師の気分によって、対応が変わる。

こうしたことが続くと、
子どもは、

「この先生は何を基準にしているの?」
と不安になります。

そのため、
叱るべきときと許すときの基準を、
教師自身がもっておくことが大切です。

 

ただし、
一貫性とは「いつでも同じ対応をする」
ということではありません。

子どもの状況が違えば、
対応が変わることもあります。

 

大切なのは、

「なぜ、この場面ではこう対応するのか」

という自分なりの基準をもっていることです。

 

「この先生は、自分の気分で怒っているわけではない」

「この先生は、誰に対しても同じように考えている」

と感じてもらえれば、
子どもは安心できます。

 

明日からできること

「自分は何を大切にして子どもを指導しているのか」

を、言葉にしてみてください。

たとえば、

  • 人を傷つけることは許さない
  • 相手の話を最後まで聞く
  • やるべきことには責任をもつ

などです。

教師自身の中に基準があると、
場面ごとの判断にもブレが少なくなります。

 

4.言葉で「ちゃんと見ている」を届ける

子どもとの信頼関係は、
問題が起きたときだけつくるものではありません。

むしろ、
何も問題がない普段の関わりの中で
少しずつ積み重なっていきます

 

私は、学級通信も
そのための大切なツールとして
活用していました。

たとえば、

  • 授業中に友達の意見を最後まで聞こうとしていた子
  • 係の仕事にコツコツ取り組んでいた子
  • 誰かが困っているときに、さりげなく声をかけていた子

そうした姿を見つけたら、
短い言葉でもいいので紹介する。

すると、子ども自身が、

「先生はちゃんと見てくれている」

と感じるようになります。

 

保護者からも、

「うちの子の頑張りに気づいてもらえてありがたいです」

「先生、ほんとによく見てくれてますね」

という声をいただくことがありました。

 

「あなたのことをちゃんと見ているよ」

というメッセージを、
日常の中で届け続けることが大切です。

学級通信だけでなく、
朝の一言、授業中の声かけ、
帰り際の一言などでもよいですね。

言葉にして伝えることで、
教師の思いは
子どもに届きやすくなります。

 

明日からできること

「今日、この子のどんな姿に気づいたかな?」

と、毎日一人でもいいので
考えてみてください。

そして、見つけたことを
言葉にして伝えてみる。

「今日、○○さんの話を最後まで聞いていたね」
「係の仕事、丁寧にやっていたね」

そんな短いやりとりでも、
子どもにとっては
大きな意味をもつことがあります。

 

思春期の子どもとの関わりで、よくある3つの場面

ここまで紹介した4つのコツを、
実際の学級でどのように
使えばよいのでしょうか。

よくある場面を3つ紹介します。

 

ケース1:授業中に「うるさい」と反発された

教師としては、つい、
「先生にそんな言い方をするな」
と言い返したくなる場面です。

でも、ここですぐに言い返すと、
お互いが感情的になってしまうことがあります。

まずは、
「今、何か言いたいことがあるの?」
「何が嫌だったの?」
と冷静に問いかけてみます。

必要であれば、
その場では深追いせず、
授業後に話をするのも一つの方法です。

 

ここで大切なのは、
反発という表面的な言葉だけを見るのではなく、

その背景にある気持ちを見ようとすることです。

 

ケース2:友人関係のトラブルが起きている

たとえば、クラス内で
無視が起きている……

担任として、なかなかきつい場面ですよね。

このような場合、
「仲直りしなさい」と
当事者だけに言って終わらせるのではなく、

まず何が起きているのかを
丁寧に把握する必要があります。

当事者だけでなく、
周囲の子どもたちの様子も確認します。

必要に応じて個別に話を聞き、
全体への働きかけも考えるのです。

 

思春期になると、
友人関係が子どもの心に
大きな影響を与えることがあります。

表面だけを見て判断せず、
状況を丁寧に見取ることが大切です。

 

ケース3:授業中、机に伏せている

授業中に机に伏せている子を見つけたら、

「起きなさい」
「授業中だよ」

と注意したくなるでしょう。
必要な指導は、もちろんあります。

ただ、その日の体調が
悪いのかもしれませんし、

友達関係や家庭で
何かあったのかもしれません。

あるいは、単純に疲れているだけかもしれません。

 

授業後に、

「最近どう?」
「何かあった?」
と声をかけてみる。

無理に話させる必要はありませんが。

「先生には話しても大丈夫かもしれない」

と思ってもらえる
関係を普段からつくっておく
ことが大切です。

 

思春期の子どもと信頼関係を築くために、教師が大切にしたいこと

ここまでの話をまとめると、
思春期の子どもへの接し方で大切なのは、

「うまく対応する技術」
だけではありません。

その土台にあるのは、
子どもを一人の人間として見る
ことだと思っています。

「言うことを聞かせるにはどうすればいいか」

だけを考えるのではなく、

「この子は今、何を感じているのだろう」

「何を大切にしたいと思っているのだろう」

と考えてみる。

 

教師として
注意すべきことは注意する。
ルールを守らせる必要もあります。

それと同時に、

「この先生は、自分のことを分かろうとしてくれている」

と思ってもらえる関係を
つくりたいものです。

 

その積み重ねが、
思春期の子どもとの信頼関係に
つながっていくのだと思います。

 

まとめ:思春期の子どもには「正しさ」だけでなく「人としての関わり」を

思春期は、
子どもが大人へと近づいていく中で、
心も体も大きく変化する時期です。

以前より反発が増えたり、
素直に話してくれなくなったりすると、
教師として戸惑うこともあるでしょう。

でも、それを単純に
「反抗」と捉える必要はありません。

「自分で考えたい」
「自分で決めたい」
「周りからどう見られているのか気になる」

そんな気持ちが強くなっている時期
と捉えてみてはどうでしょうか。

 

教師側も、
そんな子どもの変化に合わせて、
関わり方を少し変えてみる。

 

今回紹介したのは、次の4つです。

  1. 本音を見せる
  2. 正論だけでなく「変化球」で関わる
  3. 一貫性をもつ
  4. 言葉で「ちゃんと見ている」を届ける

 

私自身、20年以上教員として
教壇に立ってきた今でも、
思春期の子どもとの関わりに悩むことはあります。

それでも、
この4つを意識するようになってから、
子どもたちとの関係は確実に変わっていきました。

 

完璧に対応できなくてもいいんです。

「今日は、この子に一言声をかけてみよう」

「すぐに叱るのではなく、一度話を聞いてみよう」

そんな実践から始めてみてください。

 

思春期対応だけでなく、学級経営そのものを学びたい先生へ

思春期の子どもへの
接し方を考えていると、

「そもそも、子どもが安心して過ごせる学級をどうつくればいいのだろう?」

という、より大きな悩みに行き着くことがあります。

 

子どもとの信頼関係は、
問題が起きたときの対応だけで
つくられるものではありません。

学級開きから始まり、
学級目標、
ルールづくり、
子どもが動く学級組織、
日々の声かけ、
保護者との関係など、

1年間の学級経営全体の積み重ねによってつくられていきます。

 

私が、20年以上の実践をもとに整理した「TCLP学級経営講座」では、

こうした学級経営を
1年間の流れに沿って、

9つの章に分けて
具体的に、体系的に学べる
ようにしています。

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実際の学級でどう実践するかまで
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今回も、最後まで読んでいただき
ありがとうございました!

トーイ

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