教員キャリアの浅い方や、「実は授業は苦手」という方にとって、明日の授業1コマをどうするかを考えることはとっても時間がかかることだと思います。
ここでは、授業1コマをどう構築したらよいのか、その方法を3つのステップでお伝えします。
・45(50)分もたせられないのでは
・子どもたちはついてきてくれないのでは
・挙手が少なかったら
・つまらなそうな顔されたら
・そもそも、この時間は何を教えたらいいの
こんな悩みをもっていらっしゃる方は多いのではないでしょうか?
ぼくは教員経験20年以上ですが、初任の学校の時は、
「付けたい力」って何?というところからでした。
初任は中学校で、国語の専門でしたが、授業1時間で付けたい力っていわれてもピンとこなかったのです。
教育実習でいろいろと教わるのですが、実習のたった数回の授業で授業力や授業の構築力などあがるはずもなく、「経験させてもらった」程度といえるでしょう。
それでも採用されたら4月の最初から授業はやっていかないといけない。
空いた時間に先輩の授業を見せていただきながら、導入はこうか、発問はこんな感じか、まとめは……などと1つ1つ学んでいった覚えがあります。
しかし、こうもいかない方もいらっしゃることでしょう。
- 空き時間が極端に少ない(特に小学校)
- 疲労困憊していたり、仕事がたてこんでいたりして空き時間は事務仕事にあてたい
- 見せていただくにふさわしい先輩がいない(または見せてくれない)
こんな境遇にいらっしゃる方もいることと思います。
そこで、授業1コマをどう構築したらよいのか、授業の本質は大きく次の3つのステップで成り立ちます。
- 授業のねらい(出口)を明確にする
- 活動を考える
- 課題(めあて・目標)を考える
ここでは、この3つの本質について具体的にお伝えしますね。
授業の本質とは? これだけおさえて!3STEP
授業の本質STEP1 授業のねらい(出口)を明確にする
何ができればよいか、何が分かればよいか
授業構築の一番の核心はココです!
この1時間で、子どもたちは、
- 何ができるようになればよいのか
- 何が分かるようになればよいのか
- どんな考え方ができるようになればよいのか
- どんな見方ができるようになればよいのか
ここがハッキリしていないとあいまいな授業になってしまいます。
逆に、ここがハッキリしていれば、子どもがどんな発言をしてもブレない授業になります。
授業の出口は、「付けたい力」です。本来は、『学習指導要領』と照らし合わせて、
身につけさせられる力は、
を考えて設定するとよいです。
が、はっきりいって教科書会社が出している指導書や教師用朱書き本の「本時の目標」部分をもらってしまいましょう。
そうすると、例としては、この1時間で、
- 情景をもとにして、大造じいさんの心情をとらえられればいいんだな
- 三角形の面積を求める公式を理解して、それをつかって計算ができればいいんだな
- 物が燃え続けるには、新しい空気が必要だとわかればいいんだな
などと見えてくると思います。
授業の最後にまとめを書く活動を入れているとしたら、
などと子どもが書く内容をイメージするとよいでしょう。
授業の本質STEP2 活動を考える
どんな活動をしたらねらいを達成できるのか
では、どうしたらステップ1で明確にしたねらいに近づけるのでしょうか。
方法は大きく3つです。
じっくり1人で考える
個人で考える時間はとても大切です。
与えられた課題や資料などをもとに、じっくり考えを構築する時間や力は、子どもでなくても必要でしょう。
ただ、個によっては、考えてもわからないと、あきらめてぼーっとしてしまったり投げ出してしまったりすることも考えられます。
そのときには、その子がどう考えたのか、どこでつまずいたのかを聞き取って、次のステップに進めるようなアドバイスが必要です。
ここでつまずきそうだなと予測して、あらかじめヒントとなる資料などを準備しておくことも有効です。
しかし、ヒントの与えすぎや、思考が一本道になっている学習プリントはおすすめできません。
1人で考えることのメリット
- 自分で課題に対して考えを構築する力が身につく
- 考えを構築したり正解を導き出せたりすることで達成感を味わえる
- 教師が1人1人の学習状況をつかみやすい
1人で考えることのデメリット
- 子どもによっては、はじめからつまずいたり考えられなかったりする
- 教師が1人1人を回ると時間がかかり、人数によっては時間が足りなくなる
仲間と話し合う
最近は、どの教科でも「考える」「議論する」という活動が重視されています。
「対話的な学び」とも表現されます。
仲間と課題について話し合うことで、自分とは異なる考え方に触れたり、仲間のふとしたひと言をヒントに考えを生み出したりすることができます。
ここでも、教師の見取りはとても大切です。その集団が、どこまで到達できているのか、どこで足踏みしているのかを見取ったり聞き取ったりして方向付けしたり、考え方のヒントを与えたりして導きます。
少人数での話し合いの後に全体での話し合いを予定している場合は、きちんとした答えが出ている必要がないこともあります。
自分たちはこういう話し合いをして、今のところこういう結論だということを発表できればよいです。
その後に、全体で「ねらい」に向けた最後の話し合いをすればよいのです。
少人数ごとに、課題に対して正解を出せるような内容であれば、内容が重複しますから、その後に全体で話し合う必要はありませんね。確認くらいで大丈夫です。
むずかしいのは少人数をどのように編成するかです。
人数は3人がおススメです。
3人だと司会者が不要です。1人1人が自由に意見を出すことができます。
4人以上になると司会者が必要なことが多くなります。考えや意見の取りまとめをして、次の段階へと進める技術がいるので、小学生にはむずかしいですね。
メンバー構成にも気を配らないといけません。
話し合いを引っ張っていける子が1人は必要になります。残りのメンバーによっては、その子への負担の大きさも考慮する必要があります。
仲間と話し合うことのメリット
- 互いに他者の考えを聞くことができるので、多様な考えに触れることができる
- 1人で考えを構築することが苦手な子にとっては安心感がある
仲間と話し合うことのデメリット
- 仲間に頼りきりになる子が出てくる
- 教師がはなれているときの話し合いの内容や、誰が何を言ったか、どんな考えを話したかを把握できず、正確な評価がむずかしい
全体で話し合う
私たちが子どもの頃は、この活動が主流でした。
先生が発問する。
子どもが挙手をする。
先生が指名する。
子どもが発言する。
・・・
危険なのは、先生と発言する子どもの1対1のやり取りになってしまうことです。
そうなると、他の子たちは聴衆になってしまい、場合によっては置いてきぼりになってしまう危険があり、話し合いとはほど遠いものになってしまう可能性があります。
また、話し合いをコーディネートしたり方向づけたりする先生の力量も問われます。いかに子どもの発言やその意図を汲み取り、周りに理解させ、ねらいとする結論部分にもっていけるかという力は、一朝一夕に身につくものではありません。
全体での話し合いのメリット
- 大切な考え方や解答を周知できる
- おおぜい(一般的な授業集団では)の場で考えをまとめて話す経験を積み重ねられる
全体での話し合いのデメリット
- 教師の力量によっては、話し合いが停滞したり(はい回ったり)、強引に結論付けたりして子どもの思考に沿わなくなる
- 聴衆になる子が出てくる
授業の本質STEP3 課題を考える
この1時間で何を学ぶのかを子どもと共有する
大切なのは、「課題」です。
ステップ1で、ねらいを明確にと書きましたが、そのねらいを子どもたちと共有する部分が課題です。
目標とかめあてとも表現されますね。
子どもが、この1時間でどんな姿を目指せばよいのか、何を明らかにすればよいのかを理解する部分なので、とても重要です。
どの県でも、オーソドックスな1コマの流れは、
ではないでしょうか。言葉はそれぞれ異なるかもしれません。
一般的に「課題」は、導入後に黒板に位置付けることが多いでしょう。
いきなり課題を教師が設定したり提示したりすると、その1時間はやらされる印象が強くなり、子どものモチベーションにも関わってきますから、導入を工夫して、
- どう考えたらいいんだろう?
- どう解いたらいいんだろう?
- できるようになりたい!
- はっきりさせたい!
という思いをもたせることがスムーズな課題化には不可欠です。
もっというと、導入が大事ということですね。
導入の工夫もいろいろと方法があります。
➡~はどうしたらよいのだろうか。
➡解決方法を考えてはっきりさせる。
➡~はどうして~なのか。
➡はっきりさせるための実験方法を考えて、実験する。
➡AとBではどちらがよいのだろうか。
➡多様な考え方があるということを知る授業では、どちらでもよい
➡最終的に根拠を明確にして自分(たち)の考えを固める
小学校だと、国・社・算・理・外以外は課題を設定しない方もいますが、基本的には、その1時間で何を目指すのかということですので、ぼくは必要だと思っています。
ただ、5教科以外は時数が少ないので、あまり課題化までに時間をかけすぎると活動の時間が少なくなってしまう恐れもありますから、注意が必要です。
授業の本質 まとめ
いかがでしたか?
授業1時間を構築する方法を3ステップでお伝えしました。
発問の仕方や研究授業などでのねらいの作り方、学習の振り返り方など、実際に授業をする際には細かな点がいくつもあります。
また、その1つ1つを研究していらっしゃる方や書籍を出していらっしゃる方もいます。
つきつめたいと思えば、それらに手を伸ばしてみるとよいと思います。
ぜひ試してみてくださいね。
ご質問等があれば、コメント欄やお問い合わせ欄からお気軽にどうぞ。
こんなことを記事にしてほしいという内容も受け付けています。
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