担任する学級、授業へいかれている学級の様子はいかがですか。
子どもたちは落ち着いた生活を送れていますか?
落ち着いているときこそ、子どもとの接し方をじっくり見つめてみてください。
もちろん、落ち着いていないときにも見つめてみてくださいね。
この記事では、
・高学年の子たちとの距離感はどうしたらいいの?
・高学年の子たちとうまくいかないんだけど……
・低学年の担任ばかりだから、自信をもって高学年をうけもちたい!
という疑問や願いをもっていらっしゃる方にヒントとなる内容を紹介します。
どんなに落ち着いている学校、学級でも、
・接し方が難しい
・接し方を間違えると……
という子はいます。
ぼくも過去に苦しい思いをした経験があります。
中学校に赴任していた初任校でのこと。
とにかく熱い思いを伝えていればよいと前ばかり向いていた時期でした。
子どもたちの考えや思いをちゃんと受け止めることができずに、気が付けばクラスの女子たちが向こうを向いている状態。受験が近かったということもあり、授業が崩れることはなかったのですが、日常や行事ではぎすぎすした雰囲気で、仕事に向かうことがつらかった記憶があります。
そんな厳しい教員人生のスタートを切ったぼくでも、経験を積んだことや先輩からアドバイスをいただいたことで、子どもたちとの向き合い方のコツがつかめてきました。
どの先生にも「キャラ」があるので、一概に子どもとの接し方はこうするといいとはいえませんが、普段自分が注意していることをお伝えしようと思います。
大きく4つです。
- 会話を楽しむ
- 熱さを見せる
- 複数の指導方法をもつ
- 期待の言葉をかける
この4つについて、ぼくの実体験もふまえながら具体的にお伝えしますね。
子どもと上手に接して、よりよい関係を築いてほしいなと思います。
高学年の接し方の基本4つ
これは本当に難しくて、まちがえると大変なことになりますし、なりました。
これから書くことは、数々の失敗から学んだことでもあります。
ここでの内容は、すべて「傾向」と解釈してください。個や集団によるので、100%ではありません。
また、子どもたちは、
- 自分(たち)のことを好きでいてくれる
- 自分(たち)に物事を教えてくれる・成長させてくれる
- 自分(たち)に期待してくれる
先生を期待しています。
では、どうすればそれが伝わるかを考えていきましょう!
高学年の接し方1 会話を楽しむ!
高学年こそ、どうでもいいことを話そう
子どもといっても、高学年ともなれば人格がある立派な一個人です。そんな相手との会話を楽しむとよいです。
「正しいことを教えなきゃ」と思っていると、話の内容も話し方もかたくなります。
自分がやるゲームとか趣味の話あたりはいいですね。
「○○のところ、なかなかクリアできないんだけどどうしたらいいの?」
「カラオケ行ったら○○を熱唱するよ」
「この前食べたコンビニの○○、めちゃくちゃおいしかったからおすすめだよ」
などなど。
話の内容や言葉づかいに注意しながら子ども相手の会話を楽しんで、よい関係を築きましょう。
普段の人間対人間の関係づくりがしっかりしていれば、学級崩壊も防ぎやすくなります。
高学年と「お友達」には注意しよう!
「よい関係」とは、「お友達」とはちがいます。
下手をすると「お友達」、度が過ぎると「なめられている」状況になります。
高学年の指導では、その距離感が重要であり、難しいところです。
「お友達・なめられている」と「慕われている」は、教師をしていてかんちがいしやすいところですが、まったくことなります。
自分の場合でいくと、ややいじられる時もあり、こちらからちょっと軽口を言う、まじめな時はまじめ(☜ここが信頼につながる)……くらいの関係になるとやりやすいですね。
しかし、ここでも、「軽口」は相手の性格や、それまでのかかわりや、反応を観察しないと、「面白い、楽しい」と思う子もいれば、「嫌だ」と思う子もいて、これまた大変なことになります。
経験的・感覚的なところが大きいです。
高学年にNGな話題に注意しよう!
悪い例があります。
これは、ぼくの話ではないのですが、子どもとの距離感を縮めたいがあまり、自分がお付き合いしている彼氏や彼女のことを全体の場などで話すことです。
プライベートな話は、高学年の子どもたちは基本的に喜びます。
先生の「先生ではない一面」「人としての一面」を見られた気がして、親近感がわくのでしょう。
年頃の子どもたち、とくにいわゆるクラスの中心にいるような子たちは、興味津々でその話を聞いたり、深く質問したりするかもしれません。
しかし、さすがにこの類の話はプライベートすぎるかなと思いますし、高学年だけに内容がエスカレートするリスクも考えられます。
思春期の敏感な子どもたちには不向きですね。また、そういう話が苦手な子がいることも事実です。
クラスの中心的な子どもを引き込むには手っ取り早いですが、
と思います。
教師が楽しく話していれば、子どもたちは
自分(たち)のことを好きでいてくれる
という思いにつながります。
話す内容によっては、
自分(たち)に物事を教えてくれる
という思いにもなります。
何気ない会話に、ちょっとずつ物の見方や考え方をはさみこむのです。
例えば、台風がきているとしましょう。
子どもたちは休校になるのでは?と内心わくわくします。
そんなとき、
のように話したことがあります。
- 休校は、あなたたちと同じでちょっとありがたい
- でも、被害にあう(地域がある)ことはまったく望まない
という2つのことを話すのです。
- 先生も休校はうれしいんだなという親近感と
- 大人として休みがうれしいだけではなく、地域社会のことも考えるんだなという学び
を両立させることができるのではないでしょうか。
高学年の接し方2 熱さを見せる!
高学年に思いは通じる!
自分の中にある熱い思いを態度で見せたり語ったりすることで、
自分(たち)に物事を教えてくれる
自分(たち)を成長させてくれる
という思いにつながります。
高学年ともなると、子どもたちは、つねに熱い先生は苦手なことが多いです。
特に最近では、熱苦しいと敬遠されるかもしれません。
会話を楽しんだり、ちょっとふざけたりする中に、ときどき「熱さ」をもりこむとよいですよ。
高学年におススメは学級通信
ぼくは、好きで学級通信を書いていましたので、通信に熱い内容を入れて、短学活(朝の会や帰りの会)で語る場面がありました。
普段の短学活では、先生の話のときに
「とくにありませんので、気を付けて帰ってね」
「今日は」・・・「なんと」・・・「給食がカレーです」
などとふざけるときがあるので、いいギャップになると思っています。
日ごろ、一緒になって会話を楽しんだり、ふざけたり、軽口をたたいたり、ときにはいじられてみたりする中で、真顔で熱くド正論を話すことはとても有効です。
普段とのギャップがはげしいほど、子どもたちの心に響いていきます。
高学年の接し方3 複数の指導方法をもつ!
高学年にまじめ一辺倒は……
まず、「指導がまじめ一辺倒」「いつでもド直球」では、なかなか受け入れられないことがあります。
むずかしい年頃の高学年(特に女子)には、いろいろな指導法をもって対応していく必要があります。
高学年(中学生)ともなれば、子どもといってもそれなりに人生経験を積んで、よいことも悪いこともだいたい分かってくる年頃。
何か悪いことをしたら、たいていは分かっていてやっていることが多いです。
分かっているのにやってしまうのが人であり、思春期のもやもやとしたゆれる心でもあろうかと思います。
相手によりますが、ド直球でいいときと、そうでない時があります。
例えば、時間が守れない場面を考えてみてください。
学級の多くがしゃべったり席を離れていたりして1分ほど授業開始が遅れたとします。
そのとき、どのように声をかけますか?
ド直球な指導だと、
「授業時間が短くなります。早く席につきなさい」
「いつまでしゃべっているんですか!チャイムがなりおわっていますよ!」
というような声かけになります。
得策ではありませんが、どなって席につかせることもあるかもしれません。
はずかしながら初任の頃のぼくはこれでした。
普段の様子によっては、こういう言い方も必要な時もあるでしょう。
しかし、いつもこれでは子どもたちも「またか」「うざ……」となってしまいます。
下手をすると、「自分(たち)のことを好きでいてくれる」の逆に、
自分たちのことが嫌いなのかなと思わせてしまうかもしれません。
ですから、ときには、ちょっとちがった変化球をもっているとよいです。
「1分始めるのが遅れたから、先生も1分延長しーよう」
「今度から授業延長しても文句言うなよ~~」
日ごろの関係がものをいう時もありますが、きっと苦笑いしながら「え~やだ~」と場が和むことでしょう。
高学年の接し方4 期待の言葉をかける!
高学年でも期待されたい!
子どもたちは、期待されると、それに応えたいと思う子が多いものです。
期待してくれる人は好きです。
大人でもそうではありませんか?
とくに、純粋な期待の言葉は、はげみにもなります。
かなり有効な手段です。
ぼくの場合は、例の通り学級通信を利用します。
学級通信のよさは、子どもたちの向こう側にいる保護者にも伝わることです。
文章を書くことが得意でない方は面倒かもしれませんが、おススメです。
さて、どんな言い回しになるかというと、
- 「普段○○なあなたたちだから、今回もきっとうまくいくと思っている」
- 「前回は△△だった。でも、今回はちがう。きっと○○になると確信している」
- 「いい意味で、あなたたちのことは心配していない」
- 「きっとすばらしい最高学年になると信じている」
などです。
熱さとも重なりますかね。
本心から出る言葉が一番ですが、ときには思いがあふれて芝居がかった感じになっていてもいいでしょう。
時期や場面を考えて、意図的に言葉をかけると、より効果的です。
そう、「意図的」が大切です。
打算とはちがいます。
高学年にこそ意図的な言葉がけを!
教師なら、
- クラスをこうしたい
- この子を、こう伸ばしたい
- こういう方向に向けてあげたい
という願いをもつはずです。
その願いに沿って行う指導が「意図的」です。
打算的な悪い意味ではありません。
クラスとして方向を変えられそうな大事な時期に意図的に活動を仕組む
この子のこういう姿があったから意図的に声をかける
このような意図的な指導が大きな教育効果を生みます。
そういった意味で、意図的な期待の声かけは大変効果的で、うまくいくと、その子の生き方さえも変える可能性があります。
- 行事の前に・最中に・終わってから
- 授業の中で
- 短学活で
- 学活で満を持して
- 個別指導の中で
- 教育相談の中で
- 三者面談の中で
- 他の教員からの何気ない伝達として
いろいろな場面が想定できます。
「ここだ」と思う時に実践してみてください。
あたればすばらしいですし、はずれても、それがあなたの経験になります。
教師は、経験がものをいう職業です。
どの職業でもそうですかね。
「刑事の勘」なんていったりしますからね。
いくつもの経験が、刑事の勘ならぬ「教師の勘」になっていきます。
高学年の接し方 おわりに
いかがでしたか?
子どもという生身の人間が相手なので、これをやれば100%うまくいくという方法はありません。
そのやり方が合う子もいれば、合わない子もいます。
そのときそのときで、相手の反応や表情などを観察しながら最善の方法を身につけていくものだと思います。
相手が高学年ともなれば、それもむずかしいときがあります。
でも、その方法を複数知っているのといないのとでは大きくちがうでしょう。
ぜひ、実践してみてくださいね。
応援しています!!
さいごまで読んでいただき、ありがとうございました。
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